Kawa-Law通信

2014.09.09更新

 現在公判中の被告人ですが、今まで2回の保釈請求を却下され、本日、3回目にしてようやく保釈が認められました。

 有名人や政治家が逮捕起訴されるとよく話題に上る「保釈」ですが、法律上の根拠は2種類あります。
 一定の除外事由に当たらない場合に、裁判所が保釈を許可しなければならないと定められている「権利保釈」と、権利保釈が認められない場合でも、裁判所が職権で保釈を許可することができる「裁量保釈」です。

 この「除外事由」というのが様々で、
・起訴された事件の法定刑がある程度重いものである場合
・過去にある程度重い罪の前科がある場合
・同じような犯罪を繰り返し行っている場合(常習性)
・被告人を保釈すると、裁判の関係で必要な証拠を隠滅したり、証人や関係者に不当な圧力をかけるおそれがあると考えられる場合
等があります。

 今回の被告人の場合は、「常習性」があることは否定できなかったため、権利保釈は認められようがなく、次回期日には判決というところまで至ってようやく、裁量保釈が認められたのでした。

 なお、これもよく話題に上る保釈保証金の金額ですが、最終的に執行猶予付きの判決が予想される事件の権利保釈の場合は150万円ないし200万円程度が一般的で、実刑が予想される事件ではもう少し高く、また、裁量保釈の場合はさらに高くなると言われています。
 また、有名人や政治家等は、資産や収入の規模が違いますので、保釈保証金も高額になることが多いようです。

 当事務所では刑事事件の私選弁護人のご依頼も承っております。
 早期の対応が肝要です。一人で悩まず、ご相談ください。

投稿者: 川口法律事務所

2014.05.09更新

 昨日は、
「3Dプリンタで製造できる『本物の銃』 日本に規制する法律はあるか?」という記事
http://www.bengo4.com/topics/449/ 
が検索エンジンでヒットしたらしく、文化放送ラジオをはじめ、テレビ、新聞等何社かからコメントを求められました。
 この中では、産経新聞の神奈川地域版に掲載された記事
http://sankei.jp.msn.com/region/news/140508/kng14050822440012-n3.htm
が一番よくまとまっていたのですが、電話でのコメントだけではきちんと伝わらない部分があるかも知れないと考え、昨晩のうちにブログに、
「3Dプリンタによる銃の所持を国内初摘発」という記事
http://www.kawa-law.com/blog/2014/05/3d-846154.html
を掲載しました。

 すると、今朝からも、この記事が目にとまったらしく、毎日放送のお昼の情報番組「ちちんぷいぷい」から電話で取材がありました。
 私は、オンエアは見られなかったので、帰宅してから録画を見たのですが、自分の顔写真が公共の電波で流れて、視聴者としてそれを見ているというのは、なかなか不思議な気分でした。

投稿者: 川口法律事務所

2014.05.08更新

 報道各社によると、神奈川県警察本部は、3Dプリンタを使って製造した殺傷能力のある銃を所持していたとして、同県内の大学職員の男を銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)違反で逮捕したそうです。

 昨年、弁護士ドットコム・トピックス編集部からの依頼でコメントした、
「3Dプリンタで製造できる『本物の銃』 日本に規制する法律はあるか?」という記事
http://www.bengo4.com/topics/449/
 
が検索エンジンでヒットしたらしく、今朝ほどから、文化放送ラジオをはじめ、テレビ、新聞等何社かからコメントを求められています。

 この報道に接した時、上記の記事にコメントを寄せた時点では私が想定していなかった事態が起きたことに驚く反面、インターネット社会では、情報の流れは世界共通で止めようがなく、世界のどこかの国で起きていることは、やがて必ず日本にも波及してくるのだという思いを強くしました。

 銃器の密造自体は決して目新しいことではなく、これまでにも、暴力団関係者が直接、間接に関わっていた事例もありました。しかし、これまでの密造けん銃や改造けん銃は、工作機械を用いて金属を加工して作られており、それなりの設備と熟練が必要でしたし、また、そのような機材や人材を調達するには、一定の資金力がなければ困難でした。
 ところが、安価な3Dプリンタが登場したことで、インターネットから設計図をダウンロードすれば、ほぼ全部が樹脂製の部品で構成された銃器(但し、発射の際に銃弾の雷管に衝撃を与える部品である「撃針」は、金属製のものを用いる必要があるとのこと)が製造できるようになり、それが殺傷能力を有することも知れ渡ってしまいました。
 銃器の製造に関するハードルは、資金面でも、また技術的にも、相当低くなったと言わざるを得ず、今後、暴力団関係者や、あるいは、暴力団とは無関係な個人が、同じような方法でけん銃を製造する事案が発生するかも知れません(撃針や銃弾の調達については、想像の限りではありませんが)。

 そうすると、近いうちに、3Dプリンタを使って銃器を製造することや、銃器の製造に関する情報を規制することができないかという議論が起きてくることが予想されます。
 考えられる方法論としては二種類あり、一つは、3Dプリンタそのものに銃器の部品が製造できないような技術的な規制を導入する方法、もう一つは、銃器の製造につながる情報の流通や所持を規制する方法です。

 前者の例としては、複写機やスキャナには、紙幣をコピーしようとすると警告が出たり、印刷ができなくするような機能が組み込まれているようです。しかし、銃器の設計図や部品は多様なので、3Dプリンタに、ある特定の形状の立体物の成型を拒否するようなシステムを組み込んでも、実効ある規制ができるかはよくわかりません

 後者については、インターネットから銃器の設計図をダウンロードしたり、銃器の部品に関する情報の所持を禁止し、その違反に対して刑罰を科することが考えられます。
 しかし、銃器の製造については、武器等製造法において規制が行われており、実際にダウンロードしたデータを使って銃を製造すれば、3年以上の有期懲役に処せられます。また、同法は、未遂罪も処罰の対象としていますので、いったん製造に着手すれば、銃が完成しなくても処罰を受けることになります。けん銃等の所持は銃刀法違反となりますが、その法定刑は1年以上10年以下の懲役ですから、銃器を製造した場合の方が重い罪に問われることとなります。
 このように、既に、ある程度広範囲で強力な規制がありながら、その実効性について十分検討することのないまま、さらに、3Dプリンタで出力できるような銃器の部品に関する情報を所持しているというだけで処罰の対象に含めようというのは、処罰範囲の無限定な拡大を招くとの批判を免れないでしょう。

 また、銃器の製造につながる情報の流通や所持を規制の対象にしようとすれば、国家権力が情報の流通を監視することにつながり、必然的に、自由な情報流通や通信の秘密との緊張関係を生じてきます。この点は、先ごろ問題となった違法ダウンロードの規制の議論や、近々始まるとされる児童ポルノの単純所持の規制の議論とも、一定の共通性が認められるものです。
 法務省は現在、「取調べの可視化」とバーター的に、通信傍受の範囲の拡大や会話傍受、いわゆる司法取引等、「新しい捜査手法」の導入を検討しているとのことですが、銃規制の必要性について強硬な異論を唱える向きはほとんどないでしょうから、この種の事案が摘発されると、要は国民の安心安全に関わる問題であるとして、通信傍受の拡大等に向けた議論が一気に進んでいくおそれはないかと、危惧しています。

 やや脱線気味な部分もありますが、オンエアの時間内にコメントできなかった点も含めて、まとめてみました。

投稿者: 川口法律事務所

2014.01.30更新

 この数ヶ月間、更新をしていなかったのですが、おかげさまでサイト全体のアクセス数は以前と変わらず・・・と思っていたら、アクセス解析の結果、かなり以前に「業務日誌」のカテゴリーに書いた、ある刑事事件に関するブログが、キーワード検索でかなり上位にランクされており、このページへのアクセスが、サイト全体のアクセス数を押し上げていたのでした。

 「通り抜け無用で通り抜けが知れ」という古い川柳があります。
 これこれのことをしてはいけませんと知らせることによって、「へぇ~そういうことができるんだぁ」とそれを助長してしまう状況を皮肉ったものです。

 おおよそ自分以外の誰かの名前を使って何かをすることが、何らかの犯罪になるのではないかということぐらい、ほんの少し想像力を働かせれば判るはずなのですが、それでもそういうことを実際にやって(しまってから)大丈夫かを知りたいという不心得者のためだけに、このブログを残しておく価値もないと判断しましたので、このページは、「パーマリンク」はそのままにして書き換えました。

 そのうち検索エンジンから削除されるでしょうが、それまでの間は、お求めの検索結果と異なる内容が表示されることとなります。あしからずご了承ください。

 

投稿者: 川口法律事務所

2014.01.07更新

 新年初仕事で、逮捕中の被疑者の面会に行きました。

 道路交通法違反だと聞いていたので、酒気帯びか酒酔いだろうと思って事情を聞くと、車を運転して飲食店から帰る途中、検問で停止を求められ、呼気検査を拒否したら現行犯として逮捕されたという話でした。

 根拠条文は、
道路交通法第67条
 
3  車両等に乗車し、又は乗車しようとしている者が第65条第1項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは、警察官は、次項の規定による措置に関し、その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため、政令で定めるところにより、その者の呼気の検査をすることができる。
第118条の2
  第67条(危険防止の措置)第3項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者は、3月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 近年、飲酒運転に対する罰則が大幅に強化されていますが、「逃げ得」を許さないためにこんな条文が追加されていたのは気付きませんでした。
 なお、この被疑者は、逮捕から48時間以内に釈放されたとのことです。

投稿者: 川口法律事務所

2013.07.28更新

 相変わらず、週に何回かは、勾留中の被疑者に面会するために、どこかの警察署に立ち寄ってから帰宅する日々が続いています。

 逮捕されると、まず、48時間は警察に身柄が拘束されます。この間に、いわゆる初動捜査を終え、検察庁に身柄が送致(いわゆる送検)されることとなります。
 何事も第一印象が大事という話ではないですが、逮捕された直後に何を言っていたか、最初に被疑者を取り調べた時にどうであったか、というのは、後の裁判においても重視されます。ころころと言い分が変わるのは信用ならないという固定観念もあります。
 したがって、送検の段階までに、検察官に対してどのような説明(弁解)をするのかを意識しつつ、被疑者の言い分を整理しておくことは、極めて重要です。

 検察官は被疑者を取り調べた上で、勾留の必要性が認められる場合は、送致後24時間以内に、裁判所に勾留を請求します。
 検察官が請求した勾留を裁判官が認める割合は、99パーセントを超えると言われています。
 それでも、弁護人としては、この段階で、勾留請求をさせないよう、力を尽くします。検察官に面談し、勾留請求をしないよう求めたり、意見書を提出することもあります。

 このような取り組みの結果、検察官が勾留請求を断念することは、むしろ珍しいと言えるかも知れません。
 しかし、それでも、早い段階で、被疑者に接見して被疑事実の概要を把握し、また、ご家族と連絡を取るなどして被疑者の生活状況を知っておくことにより、実際に勾留が請求された場合の対策を考えることができるのは、たいへん重要なことです。

(この項、さらに続きます。)

投稿者: 川口法律事務所

2013.06.24更新

 弁護士ドットコム・トピックス編集部から、
「『被疑者死亡のまま書類送検』には、どんな意味があるのか?」
というテーマで、原稿の依頼を受けました。
 ライターさんが編集後の記事は、Yahooなどにも配信されています。
http://www.bengo4.com/topics/501/
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130624-00000501-bengocom-soci

 ライターさんの関心は、いわゆる尼崎連続変死事件の被疑者が、自殺後に書類送検されたことから発しておられました。
 もっとも、今回のような、勾留中の被疑者が自殺してしまったことにより、被疑者が死亡のまま書類送検されるケースは極めて珍しく、最も多いのは、交通事故で加害車両の運転者が死亡しているケースです。また、いわゆる無理心中で加害者が死亡しているケースも、時折見かけることがあります。

 ところで、警察から送致を受けた事件について、公訴を提起しない処分をした場合、検察官は「不起訴裁定書」という書類を作成します。
 裁定書には、不起訴処分の分類にあたる「主文」と、なぜその分類に該当するのかに関する「理由」を記載すべきこととされています。被疑者が死亡している場合、不起訴裁定の主文は、「被疑者死亡」とすると定められています。
 そのほか、実務上よく見られる不起訴裁定の主文としては、「時効完成」、「刑事未成年」、「心神喪失」、「罪とならず」、「嫌疑なし」、「嫌疑不十分」、「起訴猶予」などがあります。

投稿者: 川口法律事務所

2013.06.22更新

 連休明けから、起訴前弁護の依頼が立て続けに3件も入り、毎日夜、どこかの警察署に面会に立ち寄ってから帰宅する日々が続いています。

 毎年20件前後の刑事事件(少年事件を含む。)を引き受けていますが、その半分以上が裁判になる前、被疑者(いわゆる容疑者)の段階からの弁護活動です。
 2009年5月に裁判員制度が施行された際、身柄拘束を受けた被疑者について国選弁護人が選任される事件の種類が大幅に拡充され、起訴前弁護に関わる機会が増えました。
 起訴前に被疑者の勾留(身柄拘束)が許容されるのは最長20日。被疑者が被疑事実(いわゆる容疑)を認めているならば、いかにして被害を回復し、被害感情を和らげるか、被疑者が被疑事実を認めない(否認)のならば、いかにして不本意な自白をさせず、弁解を貫くか。いずれにせよ起訴前弁護は時間との勝負です。

 しかし、いったん勾留されてしまえば、その間は社会活動が行えませんから、仕事や学業に大きな影響が生じることは避けられません。
 したがって、重要なのは、いかにして勾留を避けるかということです。

(この項、続きます。)

投稿者: 川口法律事務所

2013.06.03更新

 弁護士ドットコム・トピックス編集部から、
「3Dプリンタで製造できる『本物の銃』 日本に規制する法律はあるか?」
というテーマで、原稿の依頼を受けました。
 ライターさんが編集後の記事は、Yahooなどにも配信されています。
http://www.bengo4.com/topics/449/ 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130602-00000449-bengocom-soci

 3Dプリンタを使って銃が製造できてしまうことや、この銃のパーツのデータがインターネットに公開されていることは、この取材を受けるまで知りませんでしたが、 ダウンロードすること自体がなぜ犯罪にならないのかについては、素朴な疑問があると思います。
 しかし、実行の着手に至らない段階の準備行為を処罰の対象にするには、法律を改正して処罰の根拠となる規定を設ける必要があります。犯罪の準備行為というのは、具体的な行為としても多様であり、結果の実現に向けられた危険度も様々ですから、そのような行為をどこまで処罰の対象とするかについては、議論が分かれるところでしょう。

 また、このようなものが公開されると、どうにかして規制できないのか(orどうして規制できないのか?)という議論が始まってしまうのですが、3Dデータのダウンロードを規制することについても、自由な情報流通の確保という民主主義の根幹に関わる問題を含んでいるため、私個人としては、慎重であるべきだろうと考えています。

投稿者: 川口法律事務所

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