Kawa-Law通信

2015.03.08更新

 3月1日(日)から7日(土)までに、
 電話によるお問い合わせを  6件
 メールによるお問い合わせを 1件

いただき、
 事務所でのご相談を     3件
行いました。
 初回のご相談(おおむね1時間程度)に限り、相談料は無料
ですが、2回目以降のご相談や事件受任のご依頼も、有料で承っております。

 引き続き、皆さまからのお問い合わせをお待ちしております。
 なお、お電話だけでのご相談には対応しておりませんので、ご了承ください。

投稿者: 川口法律事務所

2015.03.07更新

 弁護士になって2年目に、VWゴルフGTIの中古車を買って、十数万キロ乗り続けた。
 走行中にトランスミッション(変速機)が壊れて、5速→4速→3速と上から順にギアが入らなくなったり、エアコンのコンプレッサーが壊れて、ボンネットから黒煙を噴いたり、旅先でラジエーター(エンジンの冷却器)につながっているホースが裂けて、ペットボトルで冷却水を注ぎ足しながら帰ってきた(ことは、今でもその旅の参加者の語りぐさとなっている)などという、かなりとんでもないトラブルも経験したが、DOHC16バルブのエンジンは、別れの時まで頑健そのものだった。

 この車と過ごした十数年間は、インターネットの興隆の時期と重なっている。
 車は大量生産の工業製品だから、何年か経つと、似たようなところが痛んでくる。インターネット上には、それこそ世界中に同好の士がいて、自分が経験したトラブルやら修理に関する情報を発信している。世界最大の自動車市場であるアメリカには、様々なパーツを純正部品よりもはるかに安い値段で販売している業者がいて、ずいぶん助けられた。辞書と首っ引きでヘインズのマニュアル(英語版の素人向けの修理の手引書)を繰って、ディーラーに必要な部品の番号を尋ね、注文のメールを送れば、きちんと梱包して日本まで発送してくれる。
 それでも、しょせんは素人判断。ここを交換するだけなら修理代は大した金額でないはずと思って入庫してから、不調の原因は別のところにあると言われたことは数知れず。
 個人輸入で失敗するのは自己責任。純正と同じものだと思って注文したブレーキパッドとローターは、直径が合わなかったし、北米仕様のドアミラーのセットは、配線のコネクタが日本仕様と違っていた。排気管に取り付ける触媒は、どうしてか現車のマフラーと角度が合わなかった。返品の交渉ができるほどの英語力はない。使えなかったパーツは納戸の片隅でホコリをかぶり、年を経て、家族の苦言の対象となった。

 いくつかの深刻なトラブルや上記のような失敗にもかかわらず、この車を維持できたのは、何よりもまず、行きつけのディーラーの経験豊富なメカニックと、親身で寛大な営業担当さんのおかげである。自分自身が街なか暮らしで、車がなければ今日明日の生活が成り立たないような環境ではなかったことも大きな理由である。
 もちろん、インターネットの効用もあろうが、それを賞揚することが本稿の目的ではない。

 少々前置きが長くなったが、ネットで検索すれば、何事もそれなりの情報が手に入る時代、法的紛争に関する情報も例外ではない。
 紛争当事者が自らの経験を語るもの、弁護士などの有資格者が(その「営業活動」の一部として)紛争の対処方法を発信するもの(当サイトもそのひとつである。)、匿名で相談すれば弁護士から助言が得られ、その質問と回答の内容が公表されているサイトまである。

 ホームページを公開していると、日々、それなりの件数のお問い合わせをいただく。
 中でも多いのが、こういうことができると聞いたが、『自分でやるにはどうすればよいか』、という系統のお問い合わせである。あるいは、誰かから助言をもらいながらここまでやったが、『この先のやり方がわからないので教えて欲しい』、というお問い合わせもある。
 できるだけのお答えをするようにはしているが、そういう手続き(あるいは、別の案件でうまくいった経験)はあるれども、あなたの場合、別のやり方が適していると思いますよというケースや、前に受けたというアドバイス(あるいはその理解や実践の仕方?)がどうも違っているのではないかというケースもある。
 対面での相談でない場合は、回答の材料となる情報も限られている。お近くにお住まい(あるいはお勤め)なのだから、きちんとお目にかかった上でお引き受けさせていただいた方がよい、などと申し上げることもあるのだが、それきり連絡がないというケースもある。(あるいは、数ヶ月後、さらに混沌とした状況になってから、事務所に相談に見えられるというケースもある。)

 法的紛争は本来、極めて個別性の高いものである。
 他人の経験と自分が抱えるトラブルの異同がわからないままでは、処理を誤る。ネットには、こういう手続きがありますよという情報は流れているかも知れないが、その手続きが自分が抱えるトラブルに適合しているのかどうかは、誰も判断してくれない。
 
 ましてや、多くの法的紛争には、必ず相手方がいる。
 自分と相手方とどちらが間違っているのか、などという極めて高度な判断はさておいても、人は決して自分と同じようには考えないし、自分の思うようには動いてくれないから、現にもめごとが起きているのだ。

 DIY精神を批判したり、否定したりするつもりは全くないが、それでも自力で紛争を解決したいと考えるのであれば、少なくともこれくらいのことは、現状認識として弁えておいた方がいいように思う。

投稿者: 川口法律事務所

TEL:075-251-7266 メールでのお問い合わせ